ふぐの話

幸福を呼ぶふく

「ふく」と呼ぶ理由

ふぐの本場、山口県・下関では、ふぐを濁らせずに『ふく』と呼びます。ふぐは不具・不遇といった不吉な語感なので、縁起をかついでふく(福)にしたのではないかと言われています。なるほど、ふくよかな姿に愛くるしい顔つきや模様は、いかにも福を呼びそうです。季節や記念日、晴れやかな門出などのお祝いの席に『ふく』は縁起物として、喜ばれます。

下関は、明治時代に禁じられていたふぐが食べられた唯一の場所です。それは、伊藤博文が下関でふぐを食べて、あまりの美味しさに感激し、「山口県だけふぐを解禁」にしたからなのだとか。それ以来、下関はふぐの本場、集積所としてにぎわってきました。

ふぐの魅力

ふぐは日本人が大好きな味です。淡白な味わいと歯ごたえ、ネギとポン酢が絡み合い膨らんでいくうま味、そして絵皿が透けるような美しさ・・・。目と舌を存分に満足させてくれる、日本人の口福です。さらに、高タンパク・低脂肪で、コラーゲンがたっぷり。ヘルシーでお肌にも良い、優秀な食材です。

ふぐの美味しさは古くから知られていました。しかし、猛毒のために、何度も禁止令が出されてきました。江戸時代にはふぐで中毒死するとお家断絶だったとか。まさに、命がけですが、ふぐの美味しさにはかなわず、広く、こっそり食べられてきたようです。一茶や芭蕉なども、ふぐの美味しさと猛毒をかけた歌を残しています。

全国的にふぐが解禁になったのは、なんと戦後。下関に水揚げされたふぐも取り扱っております。

使用しているふぐ

トラフグ(トラフグ属)

  • 料理法:ふぐ刺身、ふぐちり、ふぐ皮湯引き、ふぐから揚げなど。
  • 高級ふぐ料理の代表選手。日本で食用と認められる22種類の中で、最も高価で美味とされています。体長70cm前後、体重10キロ近くまで成長します。しりヒレが白いので下関では『シロ』と呼ばれています。

マフグ(トラフグ属)

  • 料理法:ふぐタタキ刺身、ふぐちり、ふぐしゃぶしゃぶなど。
  • 体長50cm前後で、体制は平滑、トラフグのような小さな棘がないのが特徴です。トラフグの代用として、広く食べられています。

ゴマフグ(トラフグ属)

  • 料理法:ふぐから揚げなど。
  • 体長45cm前後で、目は小さく、背にゴマ状の斑文がある。

ふぐの地域

ふぐの本場で有名な下関、実は漁獲量は天然・養殖ともに全国一ではありません。下関がふぐの本場といわれるのは、ふぐが全国から集まるからなんです。

下関はふぐがよく穫れる東シナ海から、日本海、瀬戸内海を結ぶ交通の中継地だったため、各地で水揚げされたふぐの集積所になりました。ふく太郎では、身のしまりが良く旨味が深い安心の国産ふぐにこだわり続けています。

しかし、下関の南風泊市場では、天然とらふぐ漁の水揚げ量が年々減ってきています。人為的影響や、海域環境の変化が要因のひとつとと言われていますが、現在のところ明らかになっていません。

天然ふぐの相場は、大変貴重であることから、養殖ふぐの5倍以上になることも珍しくありません。ふく太郎は、一人でも多くのお客様に本物の味をご堪能いただくため、国産の天然ふぐの確保に尽力しております。

養殖では長崎県が日本の生産量の半数を占め、次は富山・石川・福井の北陸地方が盛んです。

さて、天然・養殖ともにふぐが最も食べられている地域はどこでしょう。それは、大阪。なんと、全体の6割も食べられているそうです。さすが食いだおれの街ですね。

ふぐの旬

ふぐが最も美味しくなる旬は冬です。冬になるとふぐは産卵期を迎え、瀬戸内海、有明海湾口や関門海峡、伊勢湾口など日本海沿岸にやってきます。

産卵前にたっぷり膨らんだふぐは美味しさがいっぱいです。寒い時期にはふぐちりの暖かさが嬉しいものです。近年では、ふく太郎が誇る冷凍技術や養殖技術の発達で、一年中いつでも旬のふぐの美味しさを味わっていただけるようになりました。

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